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2020年7月 6日 (月)

機動戦士ガンダムUC【アニメレビュー】

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今回のアニメレビューは『機動戦士ガンダムUC』。
UCは「ユニコーン」と読みます。

含意としては、ガンダム世界の年号であるUC=ユニバーサル・センチュリーの略でもあります。
ユニバーサル・センチュリーは日本語では「宇宙世紀」です。

もともとは、ガンダムの版権をもつバンダイが、ガンダムビジネスを永続化するために、原作者の富野由悠季さん以外の人に物語を作らせることをもくろんで、『亡国のイージス』などで実力を示した、作家の福井晴敏さんにオリジナル小説として執筆させたものです。

これまでも、ガンダムというロボットを使い、世界観は別にしたガンダムシリーズや宇宙世紀を舞台にしながら、本編との関りを避けた外伝は作られていましたが、宇宙世紀という世界観の本筋にかかわる話を富野由悠季さん以外の人が書いたことは新境地と言えます。

アニメとしては、2010年2月から、半年ごとに60分のOVA(セルビデオ)として販売され、2014年6月に7巻で完結しています。
本来は6巻の予定が、想定よりもセールスも良く、7巻まで延長したうえで、7巻は90分となっています。
このあたり、本作の商業的成功がうかがえます。


おおよそ6年前から10年前の作品ですが、人類の手描きロボアニメの集大成という意味では、歴史的な作品と言えます。
アニメ歴史遺産というものがあるなら、オリジナルの「機動戦士ガンダム」と並んで選定されるでしょう。

というのも、この作品を最後に、ロボアニメは急速にCGアニメに置き換わっていく、時代の転換点にある作品だからです。
直後に「ガンダムUC」と同様のセルアニメ形式で展開された「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」ではメカ描写はCGに移り変わっています。


アニメが手描きかCGかということに多くの人はこだわらないと思います。
しかし、芸術としては、決定的に異なります。


絵画に倣っていえば、CGアニメは新古典主義、手描きはキュビズムといえるかもしれません。


どういうことかというと、日本の手書きアニメは、ディズニーのアニメなどと異なり、早々に3Dとしての整合性を放棄したものなのです。
これは、手塚が「鉄腕アトム」をTVで放映するにあたって、1週間で30分のアニメを作るという「不可能ごと」を実現するために、漫画の表現をアニメに大胆に取り入れたことに始まります。

例えば、顔のパーツと輪郭を別々に描き、開いた口と閉じた口を差し替えながら重ねて撮影することで、口の開け閉めの動きを作るというような手法です。

福笑いや浮世絵のように、顔のパーツをバラバラにして組み合わせるという手法になれていた日本人には違和感がありませんでしたが、当時は「リミティッドアニメ」と蔑まれていた表現方法です。

この表現が発展する中で、横顔に正面向きの口が組み合わされるという、アニメ読解力の低い人が見れば「気持ち悪く」感じるような表現が浸透していきました。
大きな目と並んで、アニメが嫌いな人がアニメに生理的な不快感を感じる一因になっていますね。

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でも、この横顔+正面口という表現、実にピカソだと思いませんか?
あ、思わない・・・

ピカソのキュビズム初期作品「アヴィニョンの娘たち」は、キュビズムの同志ブラックにさえ批判されました。
その理由が「顔が正面やのに、鼻が横向きやんけ!」というものです。

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キュビズムという手法は、物体を複数の視点からとらえ、その複数の姿を同時に一枚の平面に映し出すという手法で、一瞬にして物の多様な姿を総合的にとらえることができる表現です。

このキュビズムが理解されるのに時間がかかったように、記号としての絵を象徴として動かす日本的な「リミティッドアニメ」の価値は、長く時間や費用の制限からくる表現力不足と考えられてきました。

日本アニメの巨匠である押井守さんの「ジャパニメーション」が、相当に3D表現にこだわるのも、「リミティッドアニメ」自体の価値が浸透してなかったためと言えます。
(押井さんは実写の手法でアニメをやりたがる作家で、庵野秀明さんはアニメの手法で実写を作る人なのですが、それはまたの機会に)

この手書きアニメ、現実をそのまま映さず、描き手の解釈を描いているという意味で、実写やCGアニメにはない独自の表現を生みました。
1995年の「マクロスプラス」で、背景を広角レンズで描きながら、ドッグファイトの飛行機を望遠レンズで追うという表現は、その一つの表れと言えます。
(光学的、物理的に、現実には写すことができない表現)

近年、制作効率の問題もあり、メカもキャラも3D CGで作られるものが増えてきました。
こういった表現は、また独自の進化を続けるのでしょうけど、手書きアニメが減っていくことには、寂しさも感じます。

 

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