« 私に天使が舞い降りた!【アニメレビュー】 | トップページ | バーナード嬢曰く。【アニメレビュー】 »

2020年6月26日 (金)

シムーン【アニメレビュー】

2_400

イージス・アショア配備停止の話もあり、日本の防衛について議論が起こっています。
論調としては「ミサイル防衛に変わる方法は?」「敵基地攻撃能力が必要か?」といったハードウェアの話のようです。

少し応用で、日米同盟が、自主防衛が、という議論もあるようですね。

しかし、そんな力の話をしていて、本当に平和は来るのでしょうか?
戦争と力の関係を考えるきっかけとして、今回は「シムーン」を取り上げてみたいと思います。

「シムーン」は2006年の作品です。
大空陸(だいくうりく)という全ての人が女性として生まれてくる星を舞台に、巫女として神に祈りを奉げる少女たちが否応無しに戦争に巻き込まれていく姿を描いています。

主人公「アーエル」は、祖母が巫女ではあったけど、庶民に堕ちた家の娘で、自身の社会的上昇や祖母の夢である「翠玉のリ・マージョン」(アクロバット飛行の技の一つ。最高難易度)を完成させることを目標に志願兵になりました。

ヒロインは、巫女として名門の娘で、初回の戦闘でパル(パートナー)を失ったショックで、自室にこもっている「ネヴィリル」。
こう書くと根暗なヒキコモリをイメージしてしまいますが、The お姫様というべき華麗な容姿と絶対的なリーダーシップとカリスマを持った人物です。
そういう人が戦いを拒んでいるということが、この物語の一つの鍵になります。

この他に、ネヴィリルに片思いし、ナイトになりたい「パライエッタ」、下層の出で社会的上昇への野心が強い「マミーナ」など、多彩なキャラクターが登場し、物語はアーエルとネヴィリルを軸にした群像劇として展開します。


すでに、巫女とか、戦闘とか出てきて、観ていない人には敷居が高い話になっていますが、このお話は、惑星「大空陸」のシムラークルム宮国(宮国)が、周囲の国すべてを敵にして戦争をしているところから始まります。

宮国は宗教的権威の中心であると同時に、ヘリカル・モートリスという超技術を持ち、未知の機関ヘリカル・モートリスを動力とした複座式の飛行艇「シムーン」を操る巫女がいることから、絶対的な軍事力を誇り、傲慢になってしまったことから、四方をすべて敵にしてしまったのです。
シムーンという巻貝のような美しい飛行艇は、一定の軌跡を描く「リ・マージョン」を描くことで(アクロバット飛行のイメージ)、時空を歪め、敵の大編隊も一網打尽にできるのです。


本作の特徴は、序盤8話にわたって、最強戦士であるネヴィリル(ヒロイン)が引きこもっているということで、当時、私は、この話はヒキコモリ問題を主題にしているのかな?と思ったものです。
結局、ネヴィリルは、シムーンの部隊が、ほぼ全滅し、母艦も墜落するという局面になって、仲間を守るため出撃しますが、時すでに遅く、宮国の敗北は時間の問題になっています。

シムーンの部隊の壊滅と母艦のピンチは、戦争相手の一国「プルンブム嶺国」の自爆テロによるものです。
嶺国が和平を求め使節派遣してきました。
宮国は交渉の場として、彼らを母艦に迎えたところ、和平は偽装で、自爆テロで母艦もろともシムーンの部隊を破壊されるのです。

それほどに周囲の国に憎まれていたということです。


私は、当時、ネヴィリル(ヒロイン)が、もう少しシャキッとしていれば、負けずに済んだのに、くらいに思っていました。
しかし、その後も、つらつらと本作を思い出す中で、少し考えも変わりました。

当初、ネヴィリルは、恋人が戦死したショックで引きこもったと受け止めていましたが、ネヴィリル達巫女は、本来的には神に祈るのが職責で、そもそも人殺しの道具にされること自体に不信感を持っていたのだなと理解しました。

主人公のアーエルや社会的上昇を目指すマミーナが闘いに積極的だったので、その視点に引きずられました。


さて、本作の今日的意味は何でしょうか?

もちろん、思春期の少女たちの群像劇、それぞれのキャラクターの抱える問題や生き様は、それ自体見ごたえもあり、時に応じて新たな気づきを与えてくれます。


それに加えて、本作で注目すべきことは、最強軍事大国の宮国は敗北したということです。

もちろん本作は創作物ですが、米国が一国覇権主義に失敗した今日なら、力が単純に平和を生むものではないということは理解いただけるのではないでしょうか?


今、日本は、100年ほど眠っていた獅子を隣国にもち、その力におびえ、力で対抗しようとしています。
もちろん、自立する程度の力は必要にしても、それが本当に平和と安全を生み出すのか、思案の時かもしれません。
(通常直接兵器などいくら保有してもキリがないという視点も含めて)


なお、本作では、シムーンに乗り込むときに、二人の巫女がキスをしてテンプスパティウム(神)に祈りを捧げなければいけないなど、映像美も魅力の一つです。

いい百合でした。ごちそうさまです。

 

« 私に天使が舞い降りた!【アニメレビュー】 | トップページ | バーナード嬢曰く。【アニメレビュー】 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

フォト

最近のコメント

最近のトラックバック

2022年1月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ