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2020年6月22日 (月)

私に天使が舞い降りた!【アニメレビュー】

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今回のアニメレビューは『私に天使が舞い降りた!』です。

2019年1月から3月に放映されたアニメです。


あらすじは・・・

人見知りの女子大生「星野みやこ」は、小学5年生の妹のクラスメートである女子小学生「白咲花」に一目ぼれ。葛藤を抱えながらも不器用ながら距離を縮めていく。


えー、何を言っているかわからない?
貴方は健全です。


このアニメの原作は雑誌『コミック百合姫』に連載されているギャグマンガです。
百合というのは、西洋絵画の図像学(イコノグラフィ)では、聖母マリアと純潔を意味しますが、日本のサブカルチャーにおいては「少女同士の行き過ぎた友情」を意味しています。

どうして「少女同士の行き過ぎた友情」を「百合」と呼ぶのか?


おそらくは、日本における「男性同士の行き過ぎた友情」を「薔薇」と呼ぶことへの対比からと思われます。
なお、男性同士の行き過ぎた友情を薔薇というのは『薔薇族』という雑誌からです。


百合というか、少女同士の行き過ぎた友情は、明治くらいから少女小説などでよく使われるモチーフでしたが、2000年ごろから、急速に男性ファンを増やしました。

この一つのきっかけが、幾原邦彦さんが監督した一連のアニメ「美少女戦士セーラームーン」や「少女革命ウテナ」です。

特に、少女向けアニメとして企画された「少女革命ウテナ」が、大きな男の子たちにウケたことで、百合ジャンルが広く認知されるに至りました。


大きな男の子たちが、男性の主人公に感情移入できず、アニメの主人公が、男性向けアニメでも女の子になった今日では、恋愛要素はもっぱら、百合として表現されることが多くなっています。


この日本の百合文化に大きく貢献したのは(書いてて頭が痛くなってきましたが)、雑誌『コミック百合姫』躍進の立役者である「なもり」さんの漫画「ゆるゆり」です。


それまで、百合漫画は、フランス映画っぽい独特のインモラルさを醸し出していましたが、「ゆるゆり」が、無邪気で、背徳感のない、自然体の少女同士の行き過ぎた友情を、コミカルに描いたことで、百合を百合と意識せずに、楽しく読むことができるようになりました。

この「ゆるゆり」を経過したことで、本作「私に天使が舞い降りた!」も成立できるわけです。

視聴者は、すでに「ゆるゆり」で教育済みなので、少女同士の行き過ぎた友情は、そういうものとして受け入れることができるわけです。
きっと子供はキャベツ畑に生えてくるのでしょう。

なお、私が「ゆるゆり」で一番好きなエピソードは、幼馴染の二人(当然、どちらも女の子)が、お遊びで婚姻届けを書いていて、どちらが妻か言い争いになり、結局、「夫」を「妻」に書き換えて、二人ともお嫁さんということで仲直りするという話です。

メタ的には、少女同士の行き過ぎた友情が、現実レベルで解消されたということになります。

そういうわけで、「私に天使が舞い降りた!」では、少女同士の行き過ぎた友情は、全く葛藤の対象になりません。
小学生への恋愛感情というのも、百合にしたことで、生々しさは脱臭され、何とかギャグマンガとして成立しています。
これが男子大学生が女子小学生に恋愛感情を持つなら官能小説か破滅系純文学になって、重くてしかたありません。

性愛を脱色できているおかげで、物語自体は、引きこもり気味の少女(女子大生)が、初恋を通じて社会に接し、自己評価を取り戻していくという、一級のエンターテインメントとして完成しています。

レインボーな話は置いておいて、少女が少女に恋をするという一定のずれのおかげで、年の差という問題も、映画「レオン」のような破滅型にもならず、無性的な恋愛ものという不思議な雰囲気が生まれています。

私は、ガチ百合は気が重くて苦手で、ゆるゆりは平気なのですが、思うに、ゆるゆりは、百合というより無性であることに魅力があるのかもしれません。


なお、私が百合漫画の最高峰と思っているのは、百合が好きだけど男に生まれてきたので当事者にはなれず、ただ傍観者でしかいられないことに苦悩する男子高校生を描いた「百合男子」です。

こういうのをアートというのですよ。

 

 

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