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2018年12月 6日 (木)

【読書メモ】テンプル騎士団(集英社新書) [佐藤 賢一(著)]

フランス史に強い作家である佐藤賢一氏が書いたテンプル騎士団の発生から滅亡の軌跡。
物語小説ではなく、講談社現代新書で出ていた「カペー朝」「ヴァロワ朝」や集英社新書の「英仏百年戦争」と同じ歴史解説書になる。

正直、テンプル騎士団そのものへの興味というより、実績のある佐藤氏なら読み応えのある本だろうと思い手にとった。
期待は裏切らない出来。

テンプル騎士団が、十字軍で獲得したエルサレムへの巡礼路を守るために二人の貧乏騎士がボランティアで始めたものだということ、エルサレム神殿(テンプル)に宿舎をもらったからテンプル騎士団になったということ、騎士団というものは十字軍まではなく、修道院の組織を真似ながらテンプル騎士団が雛形を作った実に宗教色が強いものだということ、といったあたりは新鮮な知識。

また、テンプル騎士団が発展する中で、西欧から軍事物資を運ぶロジスティックのシステムが確立し、テンプル騎士団は運送業・貿易業・旅行業・為替銀行と発展、ついにフランスの、いやむしろ欧州の中央銀行的な地位に上り、国家さえ凌駕しつつあったというのは迫力がある。

最終的には、中東での十字軍が失敗し、歴史的使命を終えたテンプル騎士団は、ジョブチェンジに失敗し、というより自分たちの仕事がなくなったと気が付かず、孤立し滅亡する。
ビジネス環境の変化に適応できず潰れていく名門大企業を思わせ参考になる。

現代文化の面で面白かったのは、テンプル騎士団がスターウォーズのジェダイ騎士団のモデルではないかという考察。
これはあたっているのではないだろうか。
スターウォーズをパクった、もとい、インスパイヤーしたアニメ作品「エルガイム」(後に、永野護氏によりF.S.Sとして換骨奪胎されマンガ化)では、敵役の軍隊として、その名もテンプルナイツが出てくる。
ビジュアルイメージも、白マントに赤十字と同じ。

スターウォーズのジェダイ騎士は日本の「時代劇」から来ていると言われるが、それをパク、ではなくインスパイヤーしたエルガイムが騎士団のイメージをむしろ原型に戻したというのは、東西の文化交流として面白い。

     

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